新聞社で人生相談のコーナーを担当している編集者です。
先日、「ロシアの軍事侵攻やイスラエルのガザへの攻撃といった世界の理不尽な出来事が我慢できなくて、夜も眠れない」という50代男性の相談に対して、ある著名なタレントさんが「そんなことを嘆く前に、今自分が幸せなことに感謝して自分の周りにいる人たちを大切にしましょう」と回答するコラムを掲載しました。
社内での評判は良く、一部の読者からも「いいことを言っている」と好評で、ある社員はSNSで「すごい」と褒めてくれました。でも、ネットでは「相談者を冷笑して突き放している」と多くの人から批判され、いわゆる「炎上状態」になっています。
特に、そのコラムの冒頭にある「そんなに心配なさっているのなら実際に戦場に出向いて最前線で戦ってくればいいのにな」という一文にカチンときた人が多いようで、「言語道断」「⚫︎⚫︎新聞も地に落ちた」と厳しい言葉で非難しています。
私はネットにそれほど詳しくなく、こういう炎上は初めての経験なので、どうしたら良いのかわかりません。同僚の中には「時間が経てばそのうち鎮火するから、別に気にすることないよ」と言う者もいますが、担当者としては胃が痛く、夜も眠れません。
どうすれば良いか、アドバイスをお願いします。
あなたのお悩みを読んで、まず最初に思ったことは、そんなに心配なさっているのなら、激しく非難している人たちと直接会って、話をしてみればいいのにな、ということです。
まあ、仮に直接会って話すのは無理でも、オンラインでトークイベントを開いて、あなたがどんな意図でこのコラムを掲載したのか、その真意を伝えてみるというのはいかがでしょうか。そのときはぜひ、回答者のタレントさんにも参加してもらって、自分の言葉で語ってもらうといいでしょう。
また、自分の思いを伝えるだけでなく、相手の気持ちも聞くことが大切です。怒っている人たちは、なぜ怒っているのか。それを丁寧に話してもらって、その心理を理解することが重要です。
なぜかというと、問題になったコラムは、人によって受け取り方が様々で、多様な解釈ができる内容だからです。
実際にコラムの文章を読みながら、説明してみたいと思います。
世界の不正義に怒る男性 野沢直子さんが抱く違和感「あなたは今…」:朝日新聞デジタル
※記事は有料ですが、5月27日(月) 7時1分まで無料で閲覧できます
このコラムは、一つの文章の中に矛盾するメッセージが並んでいます。「世界の理不尽な出来事を知って我慢できない」という相談者に対して、回答者はこんなアドバイスをしています。